いつものように、ベビカを押しながら、
駅前のオフィス街を歩いていたとき、
ふと目が留まった。

グレーのスーツを着た、ロングへアの女性。
足元はヒールの高いパンプス。
同僚であろう男性たちと、仕事の話をしながら、
颯爽と歩いていた。

歳は、きっと私と同じくらいか、少し上。
素敵だった。
いいなあって思った。
ちょっとあこがれた。

いつかまた、スーツを着て仕事をしたい。
自分の足で歩き、自分で仕事を選び、
「私だから」できる仕事をしたい。

今、クロゼットの奥で眠っている、
たくさんの私のスーツ達。
あまりにもダークな色ばかりで、
今は全然出番が来ないけれど、
待っててね。

この子達が、もう少し大きくなるまで、
あと少しだけ待っててね。

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